行政書士[過去問回答] -4ページ目

【A47】行政行為の効力

行政行為の効力を問う問題である。「公定力」「自力執行力」「不可変更力」「不可争力」など、行政行為に関して、まとめて覚えるチャンスである。

1 行政行為の効力は、当該行為を相手方が知りうる
  べき状態に置かれたときに発生する。「到達」
2 行政行為は瑕疵があったとしても、その瑕疵が無
  効事由にあたらない限り、取り消されるまでは相
  手方や第三者が一応有効なものとして扱わなけれ
  ばならない。
3 行政行為には、その効果として発生する国民の義
  務の不履行について行政上の強制執行を行うこと
  が認められるときがある。
4 原則として、行政行為に瑕疵がある場合には、行
  政庁はこれを職権によって取消しまたは変更する
  ことができる。しかし、例外があり、審査請求に
  対する裁決のうような裁断行為については、紛争
  の蒸し返しを避けるため、瑕疵があってもこれを
  取消し、変更はできないとされている。
5 行政行為の瑕疵は、一定期間の経過後は、国民の
  側からは当該瑕疵を争うことはできないとされて
  いる。

よって誤っているものは
正解<4>
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【A46】行政行為の分類

具体的な例を挙げて、理解しておくと記憶に残りやすいのだが・・・ 実際の行政書士の仕事になるとこういった部類の仕事が多く、現在の営業行為は「違法」行為で無効なのか、それとも「認可」をとれば、そのまま継続して営業ができるのかなどと判断を迫られる場合もある。

1 無許可営業によって売買が成立してしまっている
  場合でも、当該行為は私法上、無効とはならない。
  (最判昭35.3.18)
2 対物許可※などの場合は許可された地位は、譲渡
  や相続は可能である。これに対して、対人許可
  (医師の免許など)は譲渡や相続の対象にはなら
  ない。

  ※対物許可→物的要素に注目 :車検 など
   対人許可→人的要素に着目 :医師免許、弁護
        士登録など
   人的要素と物的要素の双方に着目 :風俗営業の免許
    → 地位の承継には許可が必要(風俗営業法7~9条)
3 認可とは、私人間の契約などの法律行為を補完し
  て、その法律的効果を完成させるものである。だ
  から、認可の対象となる行為は、法律行為に限ら
  れる。事実行為は認可の対象とはならない。
4 許可だけでなく、認可も申請を前提とする。
5 認可されたからといって、その対象となった法律
  行為の瑕疵が消滅するわけではない。

よってただしいものは
正解<5>
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【A45】行政行為の分類

行政行為を分類すると、「許可」「認可」「特許」「確認」「公証」と5つあるが、それを十分に理解しておきたい。受験生にとってはわかりやすい、しかも具体的な例でまとめにも使える問題である。

※青字を訂正後の正解として表記した
1 公益法人設立の許可・・・特許
  公共料金値上げの認可・・・認可
  鉱業権設定の許可・・・特許
  所得税額の決定・・・確認
  医師免許の付与…公証

2 火薬類輸入の許可・・・許可
  鉱業権設定の許可・・・特許
  医師免許の付与…公証
  当選人の決定・・・確認
  選挙人名簿の登録・・・公証

3 風俗営業の許可・・・許可
  農地転用の許可・・・認可
  医師免許の付与…公証
  審査請求の裁決・・・確認
  当選人の決定・・・確認

4 公益法人設立の許可・・・特許
  鉱業権設定の許可・・・特許
  火薬類輸入の許可・・・許可
  当選人の決定・・・確認
  所得税額の決定・・・確認

5 風俗営業の許可・・・許可
  公共料金値上げの認可・・・認可
  鉱業権設定の許可・・・特許
  審査請求の裁決・・・確認
  選挙人名簿の登録・・・公証

よってすべて正しいものは
正解<5>
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【A44】行政行為

行政行為の分類に関する問題である。「許可」、「特許」、「認可」、「公証」、「確認」について具体的な例が各テキストで挙げられていると思うが、この点もしっかりと確認しておきたい。

1 「許可」の定義は正しい。農地権利移動の許可
  は「認可」にあたる。
2 「特許」の定義は正しい。自動車の運転免許は
  「許可」に該当する。
3 正しい
4 これは「確認」の説明である。「当選人の決定」
  も「確認」の内容である。
  ≫公証
   特定の事実又は法律関係の存否を公に証明する
   行為
5 これは「公証」の説明である。

よってただしいものは
正解<3>
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【A43】公共用財産

「公物」に関する知識を集約しておけばよいような問題である。公物に関しては、過去、あまり出題されていないようであるが、ココでしっかりと復習しておきたい。

ア 公物についての時効取得を否定しているのは誤り
イ 公物についての時効取得を否定しているのは誤り
ウ 公用廃止前の時効取得を最高裁判所が認めている
  というのは誤り
エ 公物についての時効取得を否定しているのは誤り
オ (最判昭44.5.22)
  ≫予定公物
   将来公物として供用されることが予定されてい
   る物
カ (最判昭51.12.24)公用廃止の明示がなくても、
  黙示的に公用が廃止されたことが認められる場合
  には、時効取得が認められる。

よって正しいものはオとカである。
正解<5>
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【A42】行政立法

行政法の難解なところで、特有の言葉に辟易するところであるが、シッカリと乗り越えたい。特に言葉に関して、「不得手」と感じるひとは、別途、ゆっくりと用語を理解していく時間を設けたい。また、この用語に関してはこのサイトではなく「行政書士になろう! Blog版」のほうで、一コーナー設けてみたい。

1 行政庁の処分には公定力が認められるが、それは
  国民一人一人の判断で行政処分を拒否できると、
  社会生活が維持できなくなるからである。そこで、
  正当な権限のある機関による取消しがあるまでは
  有効となる。しかし、行政立法は国民一人一人に
  向けられた公権力の行使ではないから、国民がそ
  の効力を争うのではなく、公定力やそれに関する
  不可抗力を認める余地はない。
2 罪刑法定主義の原則(31条)により、政令など
  の行政立法で罰則を設けることは原則としてでき
  ない。しかし、行政立法で罰則を設けることも法
  律の委任があれば許される(76条6号但書)。
  なお、判例では、罰則を命令で定める法律による
  具体的委任が必要とされている(最判昭27.12.24)
3 訓令、通達などの行政規則は、法律に基づかない
  行政機関相互の定めである。行政規則とは異なる
  ので、行政規則に違反しても、当然ながら違法と
  はならない。行政立法違反の行政庁の処分は違反
  ではなく、裁判所はこれを取消すことはできない。
4 法律の授権の範囲を逸脱して制定された行政立法
  は、違法である。裁判所は、その行政立法の適用
  を否定することができる。ただし、裁判所は否定
  はできるが、その行政立法の制定自体を取消すこ
  とはできない。
5 行政立法のうち、国民の権利義務に関するものを
  法規命令という。法規命令には「委任命令」
  「執行命令」があり、この「執行命令」は、国民
  の権利義務を内容を定めるものではない。
  従って、個別具体的な法律の委任は必要ない。
  (国家行政組織法12条1項)
  このことは、地方公共団体が法律を執行する場合
  でも同様である。したがって、法律が長の定める
  規則に委任することは原則とはいえないし、条例
  により法律を執行できないとすることも妥当では
  ない。

よって正しいものは
正解<4>
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【A41】行政主体と行政機関

行政庁=大臣・知事・市町村長と捉えて理解する。上級行政庁/下級行政庁の関係に注目して、下記解説を読んでいただきたい。

1 原則として、行政庁は各大臣、自治体の長など独任制
  である。しかし、政治的中立性を保つため、内閣、行
  政委員会などでは、中立・公正・専門性も加味して、
  合議制で諮られている。
2 法令上は諮問機関への諮問が義務付けられている場合、
  諮問を経ないで行った行政庁の決定は、常に無効とな
  るのではなく、利益保護ならば無効となるが、処分の
  公正確保の場合は無効とはならない。
  (最判昭50.5.29)
3 上級行政庁の取消権の行使は、下級行政庁に対する監
  督権の行使であるから、明文規定がなくてもよい。
4 「権限の委任」とは、自己に与えられた権限の一部を
  他の機関に移すことで、法令の明示をもって根拠とな
  さねばならない。
5 当該行政行為が無効な場合は、拘束力は生じない。従
  って、他の行政庁もこれをないものとして扱うことが
  できる。

よって正しいものは
正解<3>
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【A40】行政主体と行政機関

「行政組織」について簡潔にまとめられた文章である。権利・義務の関係や組織の問題(昨今、話題になる特殊法人も入っている)、雇用関係などもアタマに入れておきたい。

1 各省庁は、国の行政機関であり、公法人ではない。
  帰属主体としての役割を担っているのは「国」。
  (国家行政組織法3条2項)
  参考≫法庫/国家行政組織法
2 公団、公庫、事業団などの特殊法人は、国とは独立
  した公法人である。行政機関にはあたらない。
3 行政庁は、国民に命令して権利義務を決定したり、
  行政主体ために契約を締結するために相手方に意思
  表示する権限を持つ。大臣・知事・市町村長が行政
  庁の例。
4 行政機関がその権限に基づいて行う行為の成果は行
  政主体に帰属する。
5 大臣と職員の関係は、公法上の含む関係が生ずるが、
  公務員も労働者として労使関係は成立する。
  (国家公務員法96条)、(最判昭40.7.14)
  参考≫法庫/国家公務員法

よって妥当なものは
正解<3>
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【A39】行政主体と行政機関

「権限の委任」に関し、良く纏められた問題である。特に5番目の問題肢については、理解しづらい「取消し」に関して簡潔に書かれているので(誤りであるが)、参考に覚えておくのがよいのではないか、と思う。

1 「権限の委任」とは、行政庁が法律上定められた
  自己の権限の一部をその下級官庁その他の行政機
  関(補助機関を含む)に委任することを意味する。
  従って、下級行政機関に限定して委任されるわけ
  ではない。
2 権限の委任があったときは、その権限は、委任の
  範囲において、受任者の権限に属する。従って、
  受任者は、自己の名と責任で権限を行使する。
3 権限の委任は、法律上の権限の分配に変更を加え
  るものであるから、法令上の明文の根拠が必要と
  される。
4 権限の代理のうち、法定代理の説明である。
5 権限の委任によって、権限の受任庁に移ることに
  なるので、国民が処分取消の訴えを提起する際の
  被告も受任庁となる(最判昭57.7.20)

よって正しいものは
正解<2>
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【A38】行政主体と行政機関

いよいよ、本問題から「行政法」に入る。役人の使いそうな言葉がズラリと並ぶが、ある意味では、役人の考え方(思考方法)を学ぶことができる。所詮、企業においても同じような思考で業務は遂行されているものだ。だから、ここでも、「権限の委任」、「受任」、「授権代理」、「権限の踰越(ゆえつ)」、「法定代理」、「権限の代行」、「指揮監督」などの独特の言い回しになれることだ。そしてその意味を明確に掴んでおくことが大切である。
 ジブンを下級行政庁(官庁)、上司(夫や妻や先輩でもヨイ)を上級行政庁(官庁)と置き換えることにより、こと理解が深まるかもしれない。

1 権限の委任があった場合には、その権限の範囲内で
  受任者の権限の属し、受任者は自己の権限として、
  自己の名と責任においてこれを行使するのである。
2 授権代理とは、被代理官庁の授権において代理関係
  が生じる場合であり、法廷事実の発生に伴って法律
  上、当然に代理関係が生じる法定代理とは異なる。
  よって、法定根拠を必要としない。
3 権限を踰越(越えての実行)した違法な行政行為で
  あっても、正当な権限のある機関による取消しのあ
  るまでは有効なものとして取り扱われる。相手方も、
  第三者も、他の国家機関もその行為の効力を無視で
  きない(公定力)。
4 被代理官庁の授権に基づかないで法定事実の発生に
  基づき、法律上当然に代理関係を生じる。
5 上級官庁が下級官庁に権限の委任をした場合は、上
  級官庁として、下級官庁の権限行使を指揮監督でき
  る。

よって誤っているものは
正解<2>

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