行政書士[過去問回答] -7ページ目

【A17】国会

『出席議員の3分の2以上』の定足数を問う問題。ここで逆にしっかりとまとめておくのもいいだろう。ついでに、この機会にテキストなどを広げて、確認しておくのもいいかも。

ア 憲法改正を発議する場合、各議院の総議員の3分の
  2以上の賛成が必要である(96条1項)
イ 秘密会を開く場合、出席議員の3分の2以上の議決
  が必要である(57条1項但書)
ウ 院内の秩序を乱した議員を除名する場合、出席議員
  の3分の2以上の議決が必要(58条2項但書)
エ 資格争訟の裁判で議員の議席を失わせるには、出席
  議員の3分の2以上の議決が必要(55条但書)
オ 条約の締結に必要な国会の承認については、憲法に
  は定めがない。よって出席議員の過半数をもっての
  議決で足りる(56条2項)

よって出席議員の3分の2以上の議決が必要なものは、
イ・ウ・エの3つ
正解<3>

【A16】国会

国会に関する問題で、この問題では議院の定足数や議決に必要な数、衆議院の優越に関する問題、参議院の緊急会議の議決についての扱い問題など、基本的な事項が問われている。ここらは行政書士受験テキストなどでよく纏められている事項でもあるから、落とさないようにしたい。

1 内閣は、いずれかの議院の総議員の4分の1以上の
  要求がある場合のほか、独自の判断で臨時会の召集
  を決定することもできる。(53条)
2 参議院の緊急集会にとられた措置が、衆議院の同意
  を得られなかった場合には、それらの措置は将来に
  向かってその効力を失う、とされている。
  (54条3項)
3 (67条2項前段)。
4 国政調査権のこと。証人の出頭は求められるが、逮
  捕や物品の押収の要求は認められない。(62条)
5 両議院の定足数は、各々その総議員の3分の1以上。
  (56条1項)

よって正しいものは
正解<3>

【A15】国会

本問題から「国会」がテーマとなる。議員の可決に要する定足数などが頻繁に出題されているので、しっかりと記憶にとどめておきたい。

1 議員の資格に関する争訟の裁判によって議員の議席
  を失わせるためには、出席議員の3分の2以上の多
  数の議決を要する(55条但書)。
2 衆議院が解散されたときは、原則的に参議院も同時
  に閉会となる(54条2項)
3 衆議院が可決し、参議院がこれを否決した法律案は、
  再び衆議院で可決したときには、法律となる。
  (59条2項)
4 内閣総理大臣その他の国務大臣には議院出席の権利
  が認められている(63条前段)
5 議院を除名するには、出席議員の3分の2以上の多
  数による議決を必要とする(58条2項但書)

よって正しいものは
正解<4>

≫参考
第4章 国 会 (第41条~第64条)

【A14】人権

本問題も「教育を受ける権利」に関する問題。2004年11月に「三位一体改革」で、「義務教育費補助率下げ」として、小泉首相がそのひとつに「義務教育費国庫負担の削減」を上げている。自民党内部でもスッタモンダはあったが、結局は補助率の引き下げで妥協した。憲法に基づく、教育の機会均等、義務教育の無償制を保障する同制度の重要な役割を守るかどうか、根本的に問われている。

1 「教育の機会均等」と全国的な教育水準の確保が目さ
  れているから、下級教育機関の教師には、大学教授の
  ような完全な教授の自由は認められてはいない。
  (旭川学力テスト事件/最判昭51.5.21)
2 義務教育の授業料は無償とされているが、教科書やそ
  の他の費用については無償とはされていない。
  (最判昭39.2.26)
3 国は必要かつ相当と認められる範囲で教育内容を決定
  する権能を有するのであって、自由に決定する権能を
  有するわけではない。
4 憲法26条は「すべての国民は、法律の定めるところ
  により、その能力に応じて、ひとしく教育を受ける権
  利を有する」と規定しているが、教育を受ける権利を
  無条件で保障しているのではなく、法律の規定の範囲
  内においてこれを保障している。少年院に送致された
  少年が高等学校教育を受ける権利を失わせたとしても、
  差別待遇を禁止した教育基本法3条1項に違反せず、
  したがって、憲法26条1項にも違反しないとしてい
  る。(最決昭32.4.5)
5 教科書検定は教育内容の正確、中立、公正で全国的一
  定水準を確保するために行われるものであり、憲法2
  6条に違反しないとしている。
  (第一次家永教科書裁判/最判平5.3.16)

よって正しいものは
正解<2>


【A13】人権

「教育を受ける権利」に関する問題。ワタシにも子供が一人いるが、最近の教育に関するニュースを見ていると、一時期の教育現場の「荒廃」というものは去ったのかもしれないが、「ゆとり教育」とかで、教育そのものが荒廃してしまった感は否めない。「荒廃」の原因は「理数がわからない」などの子供たちが多いから、時間数を削減して、人間性を回復するといったものだったが、他国と比較すると(比較すること自体がゆとりがない証拠だと思うが・・・(苦笑))、理数系が劣っているという皮肉な結果が出てしまった。また、地方公共団体における義務教育一部有償化論なども耳新しいところである。

 憲法26条は、教育は国民の一人一人が人格を形成し、
  社会において有意義な生活を送るために必要不可欠で
  ある、との観点から「国民に教育を受ける権利」を保
  障したものである。その保障の範囲は義務教育に限ら
  れてはいない。
 憲法26条1項では、「その能力に応じて、ひとしく」
  と規定するが、その趣旨は、各人の能力の違いに応じて
  異なった内容の教育が可能であることを示唆したもので
  ある。
 普通教育とは、義務教育のことであり、専門教育や職業
  教育は範疇にはならない。
 判例(旭川学力テスト事件/最判昭51.5.21)は、国が子
  供自身および社会公共の利益のために必要かつ相当と認
  められる範囲内において、教育内容について決定する権
  能を有する、としている。教育を受けさせる義務を負っ
  ているのは一次的には国ではなく、就学年齢の子女を持
  つ保護者である。
 国民に等しく教育を受ける機会を保障するためには、経
  済的に条件を整備することが必要であり、憲法26条2
  項の定める義務教育の無償制はこの経済面での条件整備
  要求権の「最低限」を現したものである。「無償」の意
  味は「授業料の無償」であり、教科書やその他の諸費用
  までを無償とする意味ではない。
 (最判昭39.2.26)

よって、妥当であるものは、
正解<5>

≫参考URL
 ・第3章 国民の権利及び義務 (第10条~第40条)

【A12】人権

ダイエーが再建機構下に入ってしまったが、一時は大規模店舗の出店に対し、周りのそれほど活性化していない商店街などから反対運動が出て、こじれることが多かった。大規模店舗が出店してくれば、地方公共団体にとっては事業税の収入や固定資産税の収入などが見込め、「ライライ(来来)」状態だったが、最近は郊外型の大規模駐車場を備えた店舗も多くなっている。一方、コンビニエンスストアは乱立状態で、フランチャイズ方式で、あっちの店は大丈夫なのか、といった距離にも同じ系列の店舗が建っているのは不安になる。今回はこういった店舗の経済的自由に関する問題。

1 大規模店舗を出店しようとする者は出店しようとする
  店舗の所在地の都道府県に届け出なければならない。
  (大規模小売店舗立地法5条)  
  この店舗の出店しようとする周囲の地域の生活環境に
  悪影響を及ぼす、と思われた場合、都道府県は必要な
  措置をとることができる。また、勧告に従わなかった
  場合には公表することができる(同法9条1項、7項)
  こうした違反事実が公表されると、消費者をはじめと
  した国民の批判を浴びるから、社会的制裁を受けたこ
  とになり、営業の自由を制限された、といえる。
2 建築主事の確認を受けなければ工事を行うことはでき
  ないという法的効果を付与されたものである。(最判
  昭59.10.26)当該処分の認定は法的拘束力が伴う。こ
  れは建築物一般に対する社会的制限で、本選択肢での
  「営業の自由」に対する制限とはいえない。
3 行政書士法は、業務の適正を図ることにより、円滑な
  行政手続への寄与と国民の利便性に資することを目的
  としている(行政書士法1条)行政書士試験合格など
  による資格制は、合格しなければ、行政書士法所定の
  目的のために、行政書士として適法に営業できないと
  いう法的効果を伴うので、「営業の自由」を制限して
  いるとはいえない。
4 酒類販売の免許制は、租税の適正かつ賦課徴収を図る
  という国家財政の一端を担うものであり、免許を与え
  るかどうかは、立法府の裁量に属する。したがって、
  この判断は裁量の範囲を逸脱するもではない。(最判
  平4.12.15)したがって、行政官庁の免許を取得しなけ
  れば、適法に酒類が販売できないのだから、営業の自
  由を「制限している」といえる。
5 公衆浴場の適正配置規制は、公衆浴場の転廃業の防止、
  国民の保健福祉を維持するものであり、立法府の判断
  が合理的な裁量の範囲内にとどまる限り、違憲とはい
  えない(最判平1.1.20)したがって、公衆浴場の許可
  制による距離制限は、法的拘束力を伴うので、営業の
  自由を制限しているものとなる。

したがって、制限しているとはいえないものは
正解<2>

【A11】人権

人権に関する問題が続くが、問題のパタンに慣れてしまいたい。本問題では「公務員の政治的中立性」、良く過去問で出題されている在留外国人の権利などが含まれている。また、昨今の首相の「靖国参拝」問題が問われそうな、「政教分離」についても法的な見解をきちんとジブンの中で纏めておきたい。

1 判例では、国家公務員については行政の中立的運営
  が「国民の共同利益」であるとしている。よって、
  それを損なうおそれのある公務員の政治的行為を一
  律・全面的に禁じており(国家公務員法102条)
  また、人事院規則規定においても政治的表現の自由
  を保障する憲法21条に違反しないとしている。
  (猿払事件/最判昭49.11.6)この判例より、地方公
  務員においてもその立場は何ら変わることはなく、
  政治的行為を制限する法律は違憲するこの選択肢は
  誤りである。
2 条例において、一般的な許可制を定めて公衆の集団
  示威行動を事前に抑制することは憲法21条には反
  していることになる。しかし、これらの行動が公共
  の秩序を保持し、また公共の福祉が著しく侵害され
  ることを防止するために、特定の場所または方法に
  つき、合理的かつ明確な基準の下に、あらかじめ許
  可を受けさせ、または届出をさせる条例を設けて禁
  止する場合は違憲ではないとしている。
  (新潟県公安事件/最判昭29.11.24)
  だから、条例でデモ行為を禁止できないとする本選
  択肢は誤り
3 判例では、国政の参政権は権利の性質上在留外国人
  に付与することはできないが、地方参政権について
  は、永住外国人であって居住する区域の地方公共団
  体と特段に緊密な関係をもったと認められる者につ
  いて、法律をもって、地方参政権を付与することは
  憲法上禁止されないとしている。
  (最判平7.2.28)
  よって、本選択肢のように法律を定めたとしても違
  憲ではない。
4 判例では、地方議会の議員に対する除名処分は、議
  員の身分喪失に関する重大事項であり、地方公共団
  体の内部規律の問題にとどまらないから、裁判所の
  審査に服するとしている。
  (最判昭35.10.19)
5 (愛媛玉串訴訟/最判平9.4.2)、(津地鎮祭事件/
   最判昭52.7.13)
  で採用された「目的効果基準」を使って、初めて違
  憲判決を出した例である。玉串料を奉納することは
  起工式とは異なり、宗教的意義を目的に持ち、一般
  人に対してそれらの宗教が特別な意義を持つ、とい
  う印象を与えるもので、その行為の効果が特定の宗
  教に対する援助・助長になる。したがって、政教分
  離に違反するとの判断を示した。

したがって、適合するものは
正解<5>

【A10】人権

今回も「表現の自由」に関する問題である。昨今、マスコミの報道姿勢が問われることが多い。田中真紀子さんの娘さんの報道に関して、娘は私人である、とか、その母の公人の恩恵に浴しているから、「公人」の範疇であるとかの論議にまで発展したことは事実である。こういった報道問題は度々発生しているが、その都度、点検しておきたい項目ではある。また、ジブンが行政書士としてこういった問題にあたったときに、どう判断するのかを判例を見ながら、考えてみるのも面白い。

1 判例では、「「国民の知る権利」奉仕する」ものであり、
  「憲法21条の保障のもとにある」としている。正しい
  報道のためには「取材の自由」も「公正な裁判の実現と
  いうような憲法上の要請がるときは、ある程度の制約を
  うけることも」否定できないとしている。
  (最決昭44.11.26)
2 判例では、裁判所が表現物の事前差止めの仮処分を行う
  ことは、「検閲」にはあたらないとしている。
  (最判昭61.6.11)
3 (教科書検定事件/最判平5.3.16)
4 判例は、集団行動による表現の自由に関する限り、「公
  安条例によって必要かつ最小限度の措置を講ずること」
  はやむを得ないとしている。
  (最判昭35.7.20)しかし、この選択肢では「公安条例」
  以降の文言が欠落している。
5 判例では、表現物は海外で発表済みであり、輸入禁止さ
  れても発表の機会が全面的に奪われるわけではなく、検
  査は関税徴収の一環として行われるもので、思想内容の
  網羅的検査・規制を目的としないなどを理由に、税関検
  査は検閲に該当しないとした。
  (税関検査事件/最判昭59.12.12)

よって正しいものは
正解<3>

【A09】人権

この問題も重要(著名)判例を例にした設問である。判例の中でも、その判決内容に名前がついているものについては、その判決の要旨を十分に理解しておきたい。【本流】・・・「行政書士になろう!Blog版」でも、一度、過去によく良く出題された「有名判例/事件」をまとめて掲示しておきたいと思う。

1 (外務省秘密漏洩事件/最決昭53.5.31)
2 (よど号ハイジャック新聞記事抹消事件/最判昭56.6.22)
3 原則として、政治活動の自由は憲法21条の「表現の自由」
  として外国人にも保障されるが、わが国の政治的意思決定
  に影響を及ぼすものには保障が及ばない。
  (マクリーン事件/最判昭53.10.4)
4 最高裁判所は、裁判所による事前差止めは検閲には該当しな
  いとしている。
  (北方ジャーナル事件/最判昭61.6.11)
5 (三菱樹脂事件/最判昭48.12.12)

よって妥当でないものは
正解<4>


著者: 芦部 信喜
タイトル: 憲法判例を読む



著者: 資格試験研究会
タイトル: 公務員試験 はじめて学ぶ憲法判例―これがでる!重要判例50

【A08】人権

刑罰などに関する問題肢が並んでいるので、この設問を見ながら、人権が拘束される場合などを学ぶいい設問だと思う。関連を復習しておきたい。国家権力に「拮抗できる」法的手段と、その正当性を確認するのにはうってつけの問題肢が並んでいると思う。

1 (29条3項)。正当な保障の意味は、「当該財産の客観的な
  市場価格を全額補償すべきである」とするもの(完全保障説
  /最判昭48.10.18)と、「当該財産について合理的に算出され
  た相当な額でよい」とする(相当保障説/最判昭28.12.23)が
  ある。
2 (31条)。本条文では、手続きの方法を単に述べているだけ
  ではなく、法定されている手続きの適正、手続きの内容の適正
  および罪刑法定主義を定めている。
3 (37条2項)。証人に対する刑事被告人の権利として、証人
  審問権、証人喚問権が保障されている。
4 (40条)。本条文は、掲示手続きにおいて抑留、拘禁された
  被告人に対する無罪の裁判があったときに、被告人が被った損
  失を填補するために、刑事補償請求権を定めている。
5 33条による逮捕の場合には、捜査および押収のためにの令状
  は不要である(35条1項)。「いかなる場合」ではない。

よって誤りは
正解<5>
   


≫参考
 日本国憲法(第3章 国民の権利及び義務 (第10条~第40条) )