【A68】行政上の強制
『行政上の強制』を本問題で終了する。「行政法」は馴染みがないために、なかなか取り付きにくい分野であるが、実際に行政書士試験に合格し、依頼される仕事はこんな分野の仕事が多い。嫌がらずにしっかりと覚えて・こなしておきたいところである。都道府県や市区町村の行政庁相手にクライアントの要望をねじこまねば・・・ (若しくは、あきらめてもらうとか・・・)
1 「営業の禁止」により課せられた当該営業について
の不作為義務は、その後の営業停止命令が出されて
も作為義務には変わらない。営業停止命令が無許可
営業をしている者に対する不作為を求める処分であ
る。停止命令義務に違反することは、不作為義務違
反である。よって、代替的作為義務に対する行政強
制である代執行をすることはできない
(行政代執行法2条)。
2 代執行などの行政上の強制執行は、将来の義務履行
の確保を目的としている。他方、行政罰は過去の不
履行に対する制裁を目的としている。よって、双方
を同一の義務違反者に対して併用することは可能で
ある。
3 事実行為である即時強制は、公定力がないので、違
法な場合にはこれを拒否できる。ものの留置や人の
拘束のような継続的な性質を有するものに対しては、
行政不服審査法の不服申立てや行政事件訴訟法の取
消訴訟において、その取消しや差止めを請求するこ
とができる。
4 原則論であるが、取消訴訟の対象は、法的効果を有
する行政処分である。事実行為である行政強制は対
象とはならない。しかし、継続的性質を有する行政
強制に対しては、処分に準じて取消訴訟の対象とな
り得る。また、金銭賠償を目的とする国家賠償請求
訴訟の対象は、行政処分、事実行為を問わない。だ
から、違法な行政強制については、国家賠償請求訴
訟の対象となり、継続的性質を有する行政強制につ
いては、取消訴訟の対象となり得る。
5 目前急迫の障害に対処するための即時強制は、事前
の私人に対する義務の付加とその不履行を前提とし
ていない。また、行政目的と刑事目的とは異なるの
で、即時強制を刑法上の正当業務行為(刑法35条)
に限る理由はない。
よって妥当なものは
正解<2>
1 「営業の禁止」により課せられた当該営業について
の不作為義務は、その後の営業停止命令が出されて
も作為義務には変わらない。営業停止命令が無許可
営業をしている者に対する不作為を求める処分であ
る。停止命令義務に違反することは、不作為義務違
反である。よって、代替的作為義務に対する行政強
制である代執行をすることはできない
(行政代執行法2条)。
2 代執行などの行政上の強制執行は、将来の義務履行
の確保を目的としている。他方、行政罰は過去の不
履行に対する制裁を目的としている。よって、双方
を同一の義務違反者に対して併用することは可能で
ある。
3 事実行為である即時強制は、公定力がないので、違
法な場合にはこれを拒否できる。ものの留置や人の
拘束のような継続的な性質を有するものに対しては、
行政不服審査法の不服申立てや行政事件訴訟法の取
消訴訟において、その取消しや差止めを請求するこ
とができる。
4 原則論であるが、取消訴訟の対象は、法的効果を有
する行政処分である。事実行為である行政強制は対
象とはならない。しかし、継続的性質を有する行政
強制に対しては、処分に準じて取消訴訟の対象とな
り得る。また、金銭賠償を目的とする国家賠償請求
訴訟の対象は、行政処分、事実行為を問わない。だ
から、違法な行政強制については、国家賠償請求訴
訟の対象となり、継続的性質を有する行政強制につ
いては、取消訴訟の対象となり得る。
5 目前急迫の障害に対処するための即時強制は、事前
の私人に対する義務の付加とその不履行を前提とし
ていない。また、行政目的と刑事目的とは異なるの
で、即時強制を刑法上の正当業務行為(刑法35条)
に限る理由はない。
よって妥当なものは
正解<2>